[今月のUnlimited][2023/06] 謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―(新潮選書)

※このコーナーは kindle Unlimitedのサービスで今月利用可能になった書籍の中から、おすすめの書籍を紹介することを目的としています。
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謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―

竹内康浩さんの「謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―」(2021年刊)が Kindle Unlimitedの読み放題対象になりました。この本は、J.D.サリンジャーの短編「バナナフィッシュにうってつけの日」のラストが実は「事件」だったという問いを提起し、サリンジャーの複数の作品を横断しながら、あちこちにある不可解な描写の意味を読み解いていき、作品世界全体に隠された謎をあぶり出していく…というミステリ仕立ての書評(?)です。もちろん、考察はサリンジャーのもっとも有名な『ライ麦畑でつかまえて』にまで及びます。
これが、ただの深読みなのか?それとも本当にサリンジャー自身の構想を暴いたものなのか?というところは意見の分かれるところでしょうが、いずれにせよ「なるほど」と膝を打つ解釈が次々出てくるのは間違いなく、実に興味深く読めてしまいます。サリンジャーのファンのみならず、昔少し読んだけど…程度の人でもついつい引き込まれてしまうでしょう。
西村京太郎の名探偵に乾杯や、ジョセフィン ・テイの時の娘など、よく知られた物語の本当の姿は…という謎解き作品には「なるほどそういう読み方をするのか」とワクワクするものがありますよね。オススメです。

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